「争族回避」チェック項目(6)
遺言書の置き場を明確にしておく

 遺言書を作成したものの、肝心の遺言書が行方不明というケースも少なくない。このようなトラブルを避けるためにも、弁護士、行政書士などの専門家を通して遺言書を作成し、遺言書の在りかや預けておく人を決めておくのが賢明だ。

 ちなみに、本人のみで用意できる「自筆証書遺言書」は費用がかからないが、法律のプロのチェックを経る「公正証書遺言」を作成する場合、公証人に手数料を支払う必要がある。例えば、相続財産の価額が100万円以下の場合は5000円、1000万円を超え3000万円以下の場合は2万3000円といった手数料が必要となる。

 なお、法務局には自筆証書遺言書の原本を保管してくれる遺言書保管制度がある。この場合、手数料として1件3900円が発生し、遺言書の閲覧(モニター)を請求する場合は1件1400円、遺言書の閲覧(原本)を請求する場合は1件1700円必要だ。

 また、少し費用はかかるが、銀行や信託銀行には「遺言信託」というサービスがある。これは遺言書の作成や執行だけではなく、保管なども含めて総合的にサポートしてくれるサービスだ。

 このようなサービスを利用することによって、被相続人の遺志が安全に守られ、遺言書の紛失などのトラブルを回避することができる。

親族同士の関係性を保つためにこそ
今から話し合っておくことが重要

 遺産相続で「争族」にエスカレートしてしまった場合、人間関係の修復は非常に困難となる。大切な家族が亡くなった後は、悲しむ間もないほどの手続きに追われる。そんな中での相続トラブルは何としてでも避けたいもの。

 本来であれば悲しみを分かち合うはずの遺族。しかし、自身の遺した財産によって遺族間に修復不可能な亀裂が生じてしまえば、故人は草葉の陰で泣くことになる。

 死や金銭という非常にデリケートでセンシティブな話題ではあるが、兄弟姉妹間や親族同士の関係を良好に保つため、「お盆」をきっかけとして今のうちに話し合っておきたい。