もちろん、安価でコンピューターの基本機能を満たしたデバイスが普及すること自体はよいのだが、Chromebookは製品ごとにOSの更新期限が決まっており、それ以降は更新されなくなる。これは、性能とは無関係にモデルの世代交代を基準にサポートが打ち切られるため、長い目で見て安価とはいえなくなる場合も考えられよう。

 もう一つの懸念は、グーグルがWebベースOSを推進する理由だ。それは明白なことで、グーグルにとっては、常時インターネットに接続され、自社のサービスを利用するユーザーが増えれば増えるほど、収集されたビッグデータが広告ビジネスの役に立つからである。

 さまざまなアップデートが自動で行われるWebベースのChrome OSやChromebookの仕組みがセキュリティー強化に有効なことは確かだが、そのこととプライバシー保護は別の問題であり、グーグルは可能な限り多くの個人情報を収集しようとする。

 たとえばグーグルは、Google Apps for Education(GAFE)と呼ばれる教育向けアプリ群(Gmail、Google Calender、Google Drive、Google Docsなどの教育版)では生徒のプロファイル作成や広告表示を行わないとしている。ところが、その他のサービスやアプリ(Google検索、Google ブックマーク、Googleマップ、Googleニュース、Googleフォト、YouTubeなど)は、その限りではない。つまり、教育用アカウントでログインしたChromebookでも、一般的な操作や処理をすれば、その結果として得られたデータはグーグルが広告ビジネスのために利用できるのである。Chromebookの主なユーザーが小・中・高校生だとすれば、そこから得られる知見はかなりの商品価値を持つものと考えられる。