山口 はっきり言って、機能的差異はないんです。でも、それをオーナーに言っても、「うるせーよ、お前。ごちゃごちゃ言うな!俺はこれが欲しいんだよ」と言って、プレミアムのほうを買うんです。しかも、1000万円の車がこれで1500万円になるので、500万円分のプレミアムがのるわけですよ。

尾原 そうですよねー。

山口 価格を決めるときって、5パーセント上げる上げないとかでも、ものすごくシュミレーションをしますよね。

 でも、そこに「意味的な価値」が加わると、平気で50パーセントだとか100パーセントだとか価格が上がる…。

尾原 そうですよね。「意味の世界」になった途端に、むしろプレミアムが付いていないとだめだろ!みたいな空気になりますよね。

山口 本当は、「職人が組み立てて何か性能に違いがあるの?」って言ったら、違いは特にないという話なんですけど。オーナーはしばらくの間、車が作られていくプロセスを映像で見て、家でワインを飲むという。

尾原 ハハハ(笑)。それが至福の時間であり、エンジンのアクセルをふかした時の音とか一つひとつが、彼にとってのファンファーレだということですよね。

山口 そうですね。