中川俊男・日本医師会会長中川俊男・日本医師会会長 Photo:JIJI

コロナ禍で有名になった
日本医師会会長の中川俊男

 フランス系カトリックのラ・サール修道会が1960(昭和35)年に設立した男子のみの中高一貫私立校だ。北海道函館市の東部にあり、鹿児島市にあるラ・サール高校は兄弟校だ。40~60代の働き盛りで、「全国区」ベースで活躍している卒業生が、続々と生まれている。

 メディアにこのところよく登場するOBを紹介しよう。20年から続くコロナ・パンデミック禍の中で、顔がよく知れ渡った日本医師会会長の中川俊男が、函館ラ・サール高校の卒業生なのだ。

 中川は北海道旭川市出身で函館ラ・サールを第8期生として卒業(1970=昭和45年卒)、札幌医科大学に進学し脳神経外科の専門医となった。現在は医療法人新さっぽろ脳神経外科病院(札幌市厚別区)の理事長だ。20年6月の日本医師会会長選挙で、前会長の横倉義武(福岡県立修猷館高校―久留米大学医学部卒)を破って第20代の会長に就いた。

 日本医師会は1916年に「日本細菌学の父」といわれた北里柴三郎によって創立された。学術専門団体を標榜しているが、昭和時代の後半に会長を務めた武見太郎(旧制私立開成中学から旧制慶應義塾普通部に転校し、慶應大卒)の下で変質し、現在は開業医の利益を最優先に考える圧力団体になっている。

 中川はテレビなどを通じて外出自粛の必要性などを訴えてきたが、100人規模の政治資金パーティーに参加したり、ワクチン接種の打ち手に歯科医師の活用を図ることに消極的な方針を示したりするなど、評判は必ずしも良くない。前述の横倉などは「耳に届くのは日本医師会に対する不満ばかりだ」(『文藝春秋』21年8月号)と嘆いている。