ひろゆきが語る「真面目系クズ」のメリット、デメリットひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、様々なメディアで活躍する、ひろゆき氏。全国のベストセラーランキングで続々と1位を獲得し、34万部を突破した著書1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

「真面目系クズ」とは

 若者を中心に最近言われているのが、「真面目系クズ」という言葉です。「真面目そうに見せるのが上手で、中身は腐っている」という人のことを指します。清潔感もあって、笑顔で明るくて、返事もいい。でも、一緒に仕事したり生活していく上で、徐々にダメなところが出てくる……。というようなパターンです。

 思いつく人が何人かいるのではないでしょうか。あるいは、あなた自身がそれなのかも?

 パッと見で真面目な人は、第一印象では好かれます。ただ、デメリットもあるので、それについて語っていこうと思います。

「不真面目な人」は嫌われるだけ?

 真面目そうな人が好かれやすいのは、ハッキリ言ってしまうと「便利だから」です。経営者にとって見ると、バイトや一般社員は「真面目な人」のほうが使いやすいのは明らかです。

 ただ、長期的に雇って大活躍してもらうためには、不真面目さが必要になってきます。

 不真面目な人は、ムダなことが嫌いです。上の人にも反発することがあります。でも、それは、職場においてのムダをなくすことにつながったり、別の大きな仕事を取ってくることにつながったりします。

 不真面目で朝礼にも会議にも参加しないような人は、大概、まわりから嫌われます。しかし、そういう人のほうが、とてつもなく大きな成果を出す可能性は高い。そして、嫌われているけど、「本当はいいやつ」という評価が遅れてきます。どんな社会も、そうなっています。そういう「嫌われ者」のほうが、社会では大きく活躍できるのです。

「真面目」は、もろい

 真面目そうに見せる努力は、一時的なメリットしかありません。面接や飛び込み営業のときは役に立ちますが、いずれしんどくなってきます。

 そうやって、目先のために戦略的に「真面目」を演じているのは別にいいのですが、いつかそれが通用しなくなる瞬間がきます。それでも真面目さで押し通そうとするのは、いわば、「八方美人」でい続けるようなものです。

 全員に好かれる努力をする人です。でも、そういう人って、逆にすごく嫌われますよね? 最初に良いイメージができてしまうと、それが壊れてしまうとなかなか修復できません。

 好感度の高いタレントが、不倫などのスキャンダルで信頼を失ったら、それを回復させるのは至難の技です。それなら、最初は悪い印象のほうが、あとは上がっていくだけなのでラクだと思うわけです。

世の中、「真面目」が多すぎる

 こんな話をしたのは、学校も社会も「真面目さ」を求めすぎていると思うからです。世の中は、「一部の不真面目な天才を、多くの真面目な人がサポートして支えている」という構図です。

 でも、不真面目な天才を潰す方向で機能してしまっているように見えます。全員が真面目でないといけない圧力が強すぎます。

 賢い人なら、表面上の「真面目さ」を演出して、見えないところで思いっきり別のことをやることができるんですけど、その真面目さにしがみついてしまうのが、「真面目系クズ」の最悪の結末なんですよね。

 だから、社会では「真面目さ」をそんなに評価しない方向にいったほうがいいですよ。特に、「真面目アピール」は無視しないといけないと思います。わざわざ真面目さを自分で言うなんて、「私は本当は真面目ではないけど、真面目なフリをしてます」と宣伝しているようなものですから(笑)。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。