本書の要点

(1)内村氏は「緊張させない」「自由に放牧する」という方法で、メンバーの潜在的な能力を引き出している。
(2)メンバーを「自由に放牧する」ことで着実に成果を上げるには[1]放牧によって各自の自主性を育てること、[2]目指すべき目標の「旗」をメンバーが努力して届く範囲に立てること、[3]たとえメンバーが失敗してもリーダーが「その結果ごと背負う」覚悟を持つことが必要である。
(3)自己成長を続けるためには、「過去の自分」にとらわれず、「現在の自分」と向き合う必要がある。過去の実績を振りかざしてはいけない。

要約本文

◆リーダーシップ編・規範となる「リーダーの背中」
◇リーダーは汗をかくこと

 内村氏は共演者やスタッフに対して「こうすべきだ」「こうしたほうがいい」といった指示を出すことはない。代わりに、部下や後輩が行動する上で規範となるリーダーの背中を示し、「仕事に向き合う姿勢」「現場での大切なこと」を伝えている。

 では、リーダーとして背中で語るにはどうしたらいいのだろうか。部下や後輩を行動させる規範となる「リーダーの背中」を作る上で大切なことの1つは、誰よりも一番「汗」をかくことである。

「演技の現場ならば誰よりも早く台本を頭に入れる」「テレビのロケならば56歳でもバク転に挑戦する」など内村氏は今でも自ら汗をかいている。

 間違いやミスを犯さない「完璧さ」がリーダーの重要な資質だと思うかもしれない。しかし、チームを動かす上でリーダーに求められることは「完璧さ」ではなく「汗をかくこと」なのである。

「人を動かす」には「人の心を動かす」必要がある。その「人の心を動かす」ものは、「パフォーマンス自体の素晴らしさ」ではなく、素晴らしいパフォーマンスを生み出すための「努力する姿勢」なのである。

◇プレイヤーとして現場に執着し続ける

 芸能界での地位が上がっても「自分もやりたがる」「コントでは常に新しいキャラを生み出そうとする」など、内村氏は現場に立ち続ける人である。

 内村氏クラスの大御所になると、新ネタ作りや体を張ったことは若手に任せて、若手をスタジオでうまく取りまとめていく指揮官的な役に回る人が多い。