奈良県内には関西本線、奈良線、桜井線、和歌山線の4本のJR路線が走っているが、長距離路線は関西本線だけで、ほか3路線は特急列車を運行するほどの距離はない。そして、幹線の関西本線にも特急列車が運行されていないのである。奈良県ではJRより近鉄のほうが圧倒的に強いというのが最大の理由のようだ。

 名古屋と大阪を結ぶ関西本線は奈良県で唯一の本線なのだが、並行して走っている近鉄大阪線に制圧されている感がある。その裏付けとして、関西本線には名古屋から大阪までの直通列車が1本も走っていない。一方、近鉄は大阪─名古屋間に特急列車を頻繁に走らせている。

 奈良県内を走っているそのほかの路線でも、JRと近鉄はしのぎを削る格好になっているが、JRは近鉄に太刀打ちできない状況が続いている。

 かつて京都─奈良間に特急列車を走らせるという構想が持ち上がったこともある。だが、路線距離が短すぎるという理由から実現には至らなかった。

新幹線が走っているのに
駅がない県がある

 日本に新幹線が登場したのは、前回の東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年のこと。その8年後(1972年)に山陽新幹線、10年後(1982年)に東北新幹線(盛岡まで)と上越新幹線が開業した。以降、1992年と1997年の山形新幹線、秋田新幹線というミニ新幹線を挟んで、北陸新幹線(1997年)、盛岡以北の東北新幹線(2002年)、九州新幹線(2004年)、北海道新幹線(2016年)が開業した。ここまでの総延長は3283kmだ。

 47都道府県のうち、16県に新幹線が走っていない。関東地方では唯一、千葉県に通っていない。

 しかし、以前は東京から成田まで新幹線を通す計画があった。というより、1971年に計画が正式決定され、1974年からは工事も始まった。東京駅の京葉線乗換通路はその名残ともいわれる。しかし、メリットなしとする江戸川区や浦安町(当時)はじめ、各方面から反対意見が噴出し、凍結・断念に至った。