とはいえ「優先順位」は常に入れ替わる

 と言っても、「最優先」は常に変化するもの。
   仕事の横入りが当たり前の中では、優先順位は常に変わるものなのです。こう言うと「じゃあ最初から優先順位などつける必要はないのでは?」と思うかもしれませんが、それは間違い。「最優先」が新しく入ってきたときに、何を後回しにするのか。この判断を行う際にも、やはり「優先順位」が必要になってくるのです。

 優先順位をいったん決めると頑として変えない人がいますが、これは危険。気づけば「緊急!」「大至急!」の山の中で、本当に大事な仕事が埋もれてしまう可能性があります。外部環境に応じてこまめに優先順位の見直しをするほうが、結果的にアウトプットが良くなることも多くあります。

医療現場の常識「トリアージ」の手法で、
正しい優先順位をつける

 医療の世界には、「トリアージ」という優先順位のつけ方のルールがあります。一刻一秒を争う救命救急の医療現場では、まず誰を助けるか、誰を後回しにするか、を判断しなければなりません。この優先づけの技術をトリアージと呼びます。テレビドラマなどで耳にしたことがある人もいるでしょう。

 少し専門的な話をします。トリアージは負傷者を短時間で次の4つに振り分けます。
1.最優先治療群(赤色/一刻も早く治療すべき)
2.非緊急治療群(黄色/赤色よりも急がなくても大丈夫だが、比較的早期に治療に着手すべき)
3.軽処置群(緑色/今すぐの治療や搬送の必要ないもの。後回しできる)
4.不処置群(黒色/現状以上の資源<医療機器・人員>が必要となり、すべての患者の救命に不利益となるため、残念ながら諦める)

救急医療現場で使われるトリアージタグ

 この判断をできるだけ速やかに行い、判断後はすぐに治療に移る。実際の現場では、重要度は色つきのタグを患者さんに貼ることでトリアージします。
   ビジネスの世界にもこのトリアージのやり方は使えます。