トリアージの基本は、まず現状の資源で対処可能かどうかからスタートします。どう逆立ちしても対処できない問題は、当面の間、優先順位から外します。
タグの色では黒色がこれに当てはまります。ビジネスに置き換えれば、予算や人員などから「今すぐはムリ」などと、判断できるものもあるかもしれません。
解決できそうかどうかの判断は、どうすればいいか。次の要素などから、総合的に行います。
・これまでの経験
・自身のリソース(資源)
・チームメンバーの能力
・残された時間(締め切り、納期)
実際にやってみると分かると思いますが、いきなり緊急な対応を必要とする赤色タグを見つけるのは、案外難しいかもしれません。
そのような場合は、たくさんあるタスクの中から、緑色タグ、つまり誰でも対処できる、短時間で対処できる、後回しできる問題を見つけ出し、それを省くことから始めるのもいいでしょう。
ビジネスでも医療でも救命処置の優先順位は赤色 → 黄色 → 緑色 → 黒色となります。黒色は放置しておきます。無駄な努力は行わない。もしくは、他の組織や人に任せるのも手かもしれません。
トリアージとは、今あなたが「本当にやらなければいけないこと」を見出し、たくさん抱えているタスクに優先順位をつけて、限られた資源を効率的に配分することなのです。
仕事の「山」探しをしよう
また、優先順位を決める際に助けになるのが、山を探す方法です。
たとえば医療現場では、一日に何十件もの診断や治療をすることがあります。その場合、私は最初にずらっとある症例(患者さん情報、カルテなど)をざっと見て、どこに「山」があるのか、を考えます。「山」とは、緊急度が高く、重要度が高く、労力を要する仕事のことです。つまり、どれくらい手がかかるのかを、仕事に取りかかる前にシミュレーションするクセをつけています。
山探しは、同じ軸でひととおり見ることが大事です。
たとえば、軸に「時間」を取るとしましょう。すると、どれくらいの時間がかかるのか、この症例は10分、この症例は1時間など、時間という軸でタスクを見ます。もしくは、情報収集という軸もあります。図書館に行く必要があるのか、手持ちの資料で足りるのか、医学文献検索サイトでのチェックが必要かどうか、という軸でも可能です。