テレワークやオンライン授業が定着しても通勤・通学する必要がある状況は必ずあるので、例えば所要時間は相応にかかっても電車などの乗り換えなしでアクセス可能なエリアを選択するとか、郊外であれば駅前や駅至近エリアで探すなどの“相対的交通利便性”は確保したいものだ。

 また、医療体制も大いに気なるところだろう。コロナだけでなくさまざま高度な医療を提供してくれる大学病院や総合病院のみならず、普段の診療対応が可能な病院が充実しているかも重要なポイントになる。

 また、子どもの教育面については地域によって違いがあるため、学習塾のオンライン講座などで補完することも検討する必要があるし、さらに子育て世代にとっては託児施設や学童保育の対応についても事前の確認はしておきたい。

 このように考えると、コロナ禍により安心できるエリアを探して転居するというのは相応の労力が必要であることはもちろん、転居に伴うコストも考慮する必要があるから、感染拡大などの状況によって性急に進めることではなく、家族と繰り返し検討して慎重に進めるべきことだということがわかる。

 コロナ禍でこれまでの生活スタイルを変えざるを得ない、もしくはこれを機に積極的に変えていくことをニューノーマルというのであれば、居住スタイルもコロナ禍に対応してより安全に、より安心して、かつより暮らしやすくしていくことが求められる。

 積極的に転居するか、あえて現在の居住エリアから動かないかは個人の選択だが、ポイントはその選択によって「より暮らしやすく」できるかどうかだろう。

 住みたい街がどこなのかは、機能的な条件が自分と家族にフィットしているかどうかで決められるべきものであり、つまりは個々人によって異なるものである。

 安心感や安全性はもちろん重要な要素であり、転居するモチベーション足りうるものだが、「快適であること」「ストレスなく暮らしていけること」も自分と家族にとってどの程度重要な要素なのかを判断した上で、転居を具体的に検討すべきだろう。

(記事は個人の見解であり、執筆者が所属する会社の見解を示すものではありません)