キーエンスの謎多き経営、平均年収1700万円以上・時価総額日本2位の原動力とは謎多き超優良企業、キーエンス。ベテランアナリストが取材経験を基に、その経営手法を解き明かす Photo:REUTERS/AFLO

FAセンサのキーエンス
時価総額は15兆円超

 キーエンスは時価総額が15.7兆円と、日本市場で第2位に位置づけ、10年前(同1.1兆円)から10倍を超えた(8月27日現在)。キーエンスの主力製品は、ファクトリー・オートメーション(工場自動化)用センサだ。同センサは、労働力不足や高精密組立ニーズを背景に、今後も需要拡大が見込まれる。

 キーエンスの創業者で現名誉会長の滝崎武光氏は、高校卒業後、いくつかの起業に挑戦し、1972年に当社の前進となる「リード電機」を創立。自動制御機器の開発と製造・販売に着手した。現社名のキーエンスは1986年より使用され、「Key of Science(科学の鍵)」を握りたいという夢が込められている。

 キーエンスは、単なるモノ売りに留まらず、コト売り(製品を購入したことで得られる体験や感動を売ること)やソリューション提供へ取り組んできた。このため、加速するIoT・サービス社会でも、同社は業界平均を上回る収益を生み続けると期待される。本稿では、キーエンスのビジネスモデルを筆者の取材経験などをもとに整理した。