マリオットがコロナ禍でも大赤字にならなかった「ホテル経営の秘密」Photo:123RF

 米国ビジネススクール講師である著者が、グローバル人材のための「決算書の読み方」を伝授する本連載。基礎編で学んだ決算書をベースに企業のビジネスモデルを検証していきます。

 今回は、旅行業界に属する世界的企業の一つであるMarriott International(米マリオット・インターナショナル、以下マリオット)について触れていこうと思います。マリオット本体は、多くのホテルブランドを保有しています。日本でよく知られているのは「リッツカールトン」「シェラトン」「ウェスティン」などでしょうか。

 執筆時点である2021年9月、旅行関連企業の業績は新型コロナウイルス感染症(COVID19)による打撃から徐々に回復してきてはいるものの、まだ以前のような状態には程遠い状況です。

 しかし少し調べると、マリオットやその他の外資系ラグジュアリーホテルは、他の旅行関連企業と比較すると、COVID19の影響を比較的小さく抑えられていることに気づきます。これはどういうことでしょうか?もしかすると、これらラグジュアリーホテルは、通常のホテルと違って特殊なビジネスモデルを採用しているからかもしれません。この記事では、その秘密を探っていきたいと思います。

マリオットのBSはどちら?

 では、早速クイズから始めていきましょう。本日は広い意味で旅行業界に属するマリオットと、航空会社の米デルタ航空を比較してみたいと思います。下図は両社のBS(貸借対照表)ですが、AとBのどちらがマリオットか当ててみてください。

マリオットがコロナ禍でも大赤字にならなかった「ホテル経営の秘密」各社の19年度(※)の10K(年次財務報告書)を基に筆者作成 ※20年度はコロナの影響があり、BS内で異常値が発生したため、19年度(19年12月期)の数値を使用

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