金融編もトップは一橋大だ。安田さんによると、特に3大メガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友)に強いという。

 2位には東京女子大が入った。早稲田大や同志社大を抑え、女子大ではトップ。同大キャリア・センター課長の森田光則さんは、「今年はコロナ禍で就職活動も困難を極めたけれども、学生たちがしっかり考えて、努力した結果」と話す。

 安田さんは、「伝統的に女子大は銀行に強い。以前は短大生を一般職として採用していたが、短大が減り女子大に移行した」と解説する。

 森田さんは、東京女子大の強さを次のように話す。

「金融、特にメガバンクが業務形態を変え、窓口の一般職を減らし、求人も減りましたが、女性の活躍の場は広がっているともいえます。近年は本学では総合職を選び、男女にとらわれず活躍したいと希望する学生が増えています。また、本学のOGが配属先で活躍し、評価を得ていることも本学が金融に強い理由だと思います」

 東京女子大は金融だけでなく、全体の就職率も好調だ。「大学ランキング2022」(朝日新聞出版)の「卒業生1000人以上2000人未満の就職率」では12位で、女子大では2位にランクインした。その理由を、森田さんは次のように話す。

就職力で選ぶ大学 2022『就職力で選ぶ大学 2022』
定価998円
(朝日新聞出版)

「学生一人ひとりに担当者をつけ、適切なサポートを行っています。また、年齢の近い女性社員を招き、業界、仕事、生き方などをうかがい、将来をイメージできるようなイベントも行っています」

 トップ20のほとんどは東京の大学だが、中には長崎純心大(6位)、福岡の西南学院大(19位)なども入っている。

「地方の私立大の学生は、たとえば九州では福岡銀行など、地元の銀行を志望するケースも多いと思います」(同)

 ランキングからは大学の得意分野や、地域の特色、時代の流れも見えてくる。大学選びに活用してほしい。(柿崎明子)

【ランキングの見方】
 大学通信調べ。アンケートに回答のあった549大学のうち、有名企業400社への実就職率が高かった20大学を掲載した。400社実就職率(%)は、400社への就職者数÷〔卒業(修了)者数-大学院進学者数〕×100で算出している。同率で順位が異なるのは、小数第2位以下の差によるもの。有名企業400社は、日経平均株価指数の採用銘柄や会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選定した。卒業生100人未満の大学および一部未回答の東京大、慶應義塾大は対象外。

AERAムック『就職力で選ぶ大学2022』より

AERA dot.より転載