非核化交渉には応じず
経済制裁の緩和を求める北朝鮮

 鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相は13日、韓豪外相・国防相会談直後の共同記者会見で、こうした問題を根本的に解決するためには北朝鮮との対話、関与、外交が必要だと強調した。

 確かに北朝鮮が一連のミサイルの発射、濃縮ウラン施設の再稼働に踏み切る背景として、米国が北朝鮮との対話に熱心でないことがある。それゆえに、北朝鮮は挑発的行為を繰り返し、注意を向けさせたいとの意図はあろう。

 しかし、米国は対話に消極的なのではない。北朝鮮が非核化交渉に真摯に対応するのであれば、米国もこれに応じる意思がある。問題は北朝鮮が非核化は横に置き、経済制裁の緩和を求めていることである。

 鄭外相の言うように、北朝鮮のこうした行動を契機に北との「対話、関与、外交」に踏み切れば、核ミサイルの開発は米韓の譲歩を引き出す手段となることを意味し、その結果、北朝鮮は核ミサイル開発に一層の精力を傾けることとなろう。

 金正恩総書記は年明けの朝鮮労働党大会で、「多様な核攻撃手段を開発する」と表明した。巡航ミサイルの開発事業はその一環で、「敵対勢力の動きを制圧する戦略的意義を持つ」と伝えている。

 また、北朝鮮は8月に米韓両軍が合同演習をした際、対抗措置を予告していた。

 北朝鮮が軍事力で韓国や米国を脅迫しようとしている事実を、率直に受け入れるほかない。

北朝鮮に
非核化の意思はない

 IAEAは年次報告書で、「北朝鮮が7月以降、北西部の寧辺(ニョンビョン)核施設で原子炉を再稼働させた兆候があることが判明した」と伝えた。

 さらにラファエル・グロッシ事務局長は13日、IAEA理事会で「北朝鮮が寧辺のウラン濃縮施設で冷却装置を除去したとみられる動きを目撃した」と明らかにした。これは最新の報告書にもない内容であり、最近まで稼働中断状態にあったウラン濃縮施設が再び稼働した兆候と解釈されている。

 グロッシ事務局長は「深刻な問題」と指摘し、「北朝鮮が核開発を続けることは国連安保理決議に明らかに違反する行為であり、非常に遺憾だ」と述べた。

 しかし、韓国政府は北朝鮮が核施設を再稼働したのが事実であっても南北合意違反ではないという。外交部の崔鍾建(チェ・ジョンゴン)第一次官は、「2018年9月19日の南北首脳会談(平壌宣言)と米朝首脳会談の合意条項には寧辺施設が特定されてはおらず、明確な合意違反と見ることは難しい」からだという。