女性活躍推進法が改正され
女性社外取締役は引く手あまた

 キャリアを積んだシニア女性にとって唯一、男性よりも有利な職が今あるとすれば、「社外取締役」かもしれない。

 女性活躍推進法が改正され、対象がこれまでの常時雇用する労働者301人以上の事業主から、101人以上の事業主へと拡大される(22年4月1日施行)。「役員に占める女性の割合」も、公表対象のひとつで、「女性社外取締役」は引く手あまたの状態だ。だが、当たり前だが、誰でもなれるわけじゃない。

 外資系企業を渡り歩いてきた中池美智子さん(57歳、仮名)は、現在はチーフマーケティングオフィサー(CMO)の立場にいるが、50代半ばを過ぎ、そろそろ先のことを考えている。語学も堪能で、彼女の実力は自他ともに認めている。外資は制度としての定年はないが、実際には60歳近くなると、やんわりと退職を勧められる。真偽のほどは定かではないが、現在の会社が日本から撤退するといううわさも耳にした。

 そんなとき、「社外取締役に興味はあるか」と知り合いから情報をもらった。CMOという肩書きはあるがボードメンバーではない。でも、思いきって挑戦してみることに。履歴書と職務経歴書を書きながら、これまでの実績を評価してもらえるかもしれないと、かすかな期待をかけた。

 仲介業者との面談では積極的に自己アピールした。だが結果は残念ながら、経営経験がないとのことで、最終的なクライアントとの面談まで進むことはかなわなかった。現実の厳しさを実感している。

 一方で現役時代は部長職だったが、退職後、社外取締役になった人もいる。