リモートワークでは
「量」で部下の感情を上げる

 なお、リモートワークが進む中では、なおさら感情マネジメントが難しくなっているのではないだろうか。

 実際、「部下の気持ちをくみ取れているか不安」「対面コミュニケーションができず、部下の精神的フォローが難しい」という声は多いようだ。その中で上司はどう振る舞えばよいのだろうか。

「コミュニケーションには質と量の2軸があります。リモートワークではコミュニケーションの質を上げるのは難しい部分もあるでしょう。一方、量は調整が可能です。どんな小さなことでも、細かく部下を褒めるなどコミュニケーションの頻度を高めるとよいでしょう。チャットでも何でも、小さな感謝やフィードバックを意識的に重ねていきます」

 中には「いちいち褒めるのは照れくさい」「そんなに褒めることがない」という人もいるかもしれない。その解決策として池照氏が提案するのは、自分を主語にして人を褒めること。「君が理解してくれて気持ちが楽になった」「適切な資料をくれたから商談をうまくこなせた」など、自分を主語に相手を褒める形ならやりやすいという。

「感情マネジメントが有効なのは、仕事だけではありません。家族や恋人、友人に対しても同じことが当てはまるでしょう。感情マネジメントを身に付けることは、人生の質を上げることにもつながるのではないでしょうか」

 かつては「仕事場に持ち込むな」といわれた感情だが、感情を抜きにして、良い仕事やチームを作るのは簡単ではないだろう。なぜなら、人の判断や行動は感情に大きく左右されるからだ。日々の仕事をよりよく進めるために、自分や他者の感情に気を配ってみると、新しい発見があるかもしれない。