私たちの生活には、いろいろなところで神様の存在を感じられることがあります。身近なところでは、「初詣」。受験生なら「合格祈願」。ビジネスパーソンなら「商売繁盛」。名だたる経営者も、日本の歴史をつくった戦国大名や歴代天皇も、神様を信仰し、力を借りて成功を収めてきました。漫画やゲームのキャラクター名でつかわれていることもあります。もしかしたら、ヒットの要因は、神様のご利益かもしれませんね。
日本には、八百万(やおよろず)の神様がいると言われています。膨大な神様の中から100項目にわたって紹介する新刊『最強の神様100』には、古代から現代まで、めちゃくちゃ力のある神様が登場します。最強クラスの神様なので、ご利益も多種多様。
今回紹介する神様は、七福神の弁才天です。金運のご利益のイメージが強いと思いますが、元はインドの神。日本に来て少し性格が変わったのかもしれませんね。

七福神の紅一点は「才能開花」と「財運」の女神Photo: Adobe Stock

才能が花開き、財産を築く

七福神の紅一点は「才能開花」と「財運」の女神弁才天
イラスト/朝倉千夏

 宝船に乗った七福神をご存じの方も多いでしょう。七福神の中で唯一の女神が弁才天(べんざいてん)です。略して「弁天」「弁天さん」とも言われます。ちなみに大黒さんはオオクニヌシです。

 弁才天は仏教の守護神で、ヒンドゥー教の女神サラスヴァティーが仏教に取り込まれた姿です。さらに、日本神道に取り込まれて宗像三女神のイチキシマヒメと習合(合体)しました。つまり合体・同一視されたのです。

 サラスヴァティーは水と豊穣の女神で、インド最古の聖典「リグ・ヴェーダ」によると、聖なる川「サラスヴァティー川」の化身でした。流れるものすべての女神で、特に言葉や弁舌、知識や音楽などの神ですが、8本の手に武器を持つ戦闘神の形態もあります。2本の手の形態だと、多くは楽器の琵琶を持っていますね。

 ご利益は、「才能の発揮」「お金を得ること」「戦いに勝つこと」です。音楽や絵画など芸術の才能開花や、美しさを磨くこと全般もご利益ですね。

 天下人が大きく力を借りた弁才天の神社は、神奈川県藤沢市の江島(えのしま)神社です。『太平記』によると、鎌倉時代初期に幕府の実権を握った初代執権・北条時政は、江の島の岩屋洞窟に21日間こもります。すると、弁才天が出現。「子孫は永く日本の主になる」と予言し、大蛇となって海に姿を消します。あとには3枚の大きな鱗が残され、北条時政はその3枚の鱗を家紋にしたとか。

 江島神社は日本三大弁天です。滋賀県長浜市にある竹生島(ちくぶじま)の宝厳寺(ほうごんじ)、広島県廿日市市の大願寺(だいがんじ)、芸能系に人気の天河大辨財天社(てんかわだいべんざいてんじゃ、奈良県吉野郡天川村)も三大弁天とされます。一社多いと突っ込まないでください!

 元々インドでは魔神を倒す戦闘の神です。それだけに、厳しい競争やサバイバルでも大いに助けになる女神様です。

【主なご利益】技芸上達、金運向上、必勝祈願

【こんな人にオススメ!】
才を発揮して、お金持ちになりたい人

*本原稿は、八木龍平著『最強の神様100』からの抜粋し、再編集したものです。