都市部の新築マンション市場も
縮小を続けている
首都圏で今年8月に発売された新築マンション戸数は1940戸で、前年同月比16.2%の増加率となった。2カ月ぶりの増加であり、平均価格は7452万円、平方メートル単価は117.8万円とともに大幅上昇し、契約数も73.0%をキープしている。成約率70%が好不調の目安とされる中、順調に上昇しているようにみえる。
しかしこの20年間、販売戸数は縮小の一途をたどっており、2020年の新築マンション販売戸数は約2.7万戸。首都圏のピーク時である2001年頃には9万戸近く販売されていたことを考えると、市場規模そのものは3分の1程度までに縮んでいるのだ。
縮小の背景には、「都心」「駅前・駅近・駅直結」「大規模」「タワー」に代表される高額物件への人気集中が影響している。中でもマンションでは、駅から徒歩7分を超えると売れ行きが鈍る傾向にある。
購入層である30代の共働き世帯が移動する際、メインとなるのは鉄道だ。通勤時間を短縮するため、駅から近いことへの優先順位は高い。そして学校や病院を含めた公共施設やショッピングモールなど、生活に必要な利便施設は都心および駅周辺に集約されている。
特に首都圏では自動車を保有しない若い世代が多く、都心や駅からの距離は外せない条件となりつつある。駅から徒歩15分の100平方メートルの物件よりも、徒歩2~3分の70平方メートルの物件を選ぶ価値観が浸透したことが、駅近ニーズの拡大につながっているのだ。