幼少期や学生時代などに海外で過ごす機会がないと英語は習得できない、と半ば諦めかけているビジネスパーソンも多いかもしれない。しかし、今の時代、日本で自宅にいながらでも英語は話せるようになる。しかし、そうなるには、中学・高校時代の学習法からの転換が必要だ。今回は英語界の権威である安河内哲也先生に話を聞いた。
なぜ日本人は英語を話すのが下手なのか
日本人は、少なくとも中学校から英語を学んできた。2020年から小学校でも英語教育が必修化されているし、幼少期から勉強してきた人もいるだろう。
1967年 福岡県北九州市生まれ、遠賀郡岡垣町育ち。上智大学外国語学部英語学科卒。東進ハイスクール・東進ビジネスクールのネットワーク、各種教育関連機関での講演活動を通じて実用英語教育の普及活動をしている。また、文部科学省の審議会において委員を務めた。言語活動型英語授業を促進するために、各所へのスピーキングテスト、4技能試験の導入に向けて活動中。話せる英語、使える英語を教えることを重視している。子供から大人まで、誰にでもわかるよう難しい用語を使わずに、英語を楽しく教えることで定評がある。予備校や中学・高校での講演のほか、大学での特別講義や、大手メーカーや金融機関でのグローバル化研修、教育委員会主催の教員研修事業の講師も務めている。
しかし、仕事やボランティアなどで英語を「使う」シーンに突如直面すると、日本人が得意とする、正しくマークシートを埋めるスキルがまるで訳に立たないことに気が付く。それでは、私たちのほとんどがすでに一定程度持っている英語のスキルを「話す英会話スキル」に変換するにはどうしたらいいのか。
東進ハイスクールのカリスマ英語教師として有名な安河内哲也先生は、大前提として、英語を学ぶ人たちを2種類に分けて考える必要があるという。
「ひとつは、ESL(English as a second language)と呼ばれる、人々が日常時に第二言語として英語を使っているグループ。もうひとつがEFL(English as a Foreign Language)といって、英語を外国語として勉強する国です。
日本は(今のところは)後者であり、テスト勉強を中心とした教育になりがちです。各種のテスト対策が多く行われ、総じてインプット過多となる傾向があります。また、スピーキングのような実用的な部分が軽視されがちになります」
実際にテストで点を取ることには、自信があるという読者も多いかもしれない。しかし、現在のビジネスに必要な英語スキルはマークシートを正しく埋めることではない。