前述したように、今回の調査結果では、多くの自治体で魅力度の点数が上昇した。同じく、魅力度と共に行った「観光意欲度」などの点数も、おしなべて上昇している。

 47都道府県の平均では、2021年の認知度は前年比で1.06倍、情報接触度は同1.04倍となっており、前年からは数%程度の伸びとなっているが、魅力度は1.23倍、観光意欲度は1.21倍と、いずれも対前年比で20%以上の伸びとなっている。また、食品想起率は1.30倍、産品(非食品)想起率は1.52倍と、産品の購買意欲度もかなり上昇しているのである。

 田中社長は、「コロナ禍で都道府県を超えた移動がままならない中で、逆に地域への関心度が高まったためと考えられる。今後は、こうした関心の高まりを観光集客や商品販売、移住促進など消費者の行動につながれば、コロナ禍で疲弊が進む地域経済からの復活に結びつく可能性がある」と話す。

市区町村の魅力度1位は札幌市
伸び率では軽井沢町が急上昇

 続いて、市区町村の魅力度についても見てみよう(表は掲載していない)。

 1000市区町村の中で最も魅力度が高かったのは札幌市で、2012年以来となる9年ぶり7度目の1位となった。同市を「とても魅力的」と回答したのは、45.3%で前年の29.0%から大幅に上昇した。2位は函館市で、1位と2位を北海道の市が独占。さらに、4位小樽市、10位に富良野市、26位に釧路市、29位に帯広市、30位に登別市、34位に旭川市と上位にランクインしている。

 市区町村魅力度で最も伸び率が大きかったのは軽井沢町で、49.2点と前年の33.3点から15.9点も大幅に上昇。順位も8位となっている。コロナ禍でのワーケーション先としての人気が魅力度の順位を引き上げたのではないだろうか。

 コロナ禍収束後、再び人々が動き出すとき、各自治体は自らが持つ魅力を地域の発展と持続性向上にどう結び付けるのか、今後の取り組みが重要なポイントとなる。

(フリーライター 西嶋治美)