製薬・医療業界の画像診断AI写真はイメージです Photo:PIXTA

前回は製薬・医療業界がどのような業界なのか、異業種からするとどんなビジネスチャンスがあるのかを、新薬の開発を担当する研究者のニーズから見てきた。今回は、同様の別ニーズと、医療業界でのディープラーニングによる画像診断について掘り下げてみよう。(医療コンサルタント 武知志英)

研究者は地道な作業で疲弊
重要結果を見落としかねないリスクも

 製薬企業には、研究力・開発力はさることながら、精密で正確な「分析能力」も求められる。異業種からすると、分析の精度や効率の向上につながるサービスは、大きなビジネスチャンスなのでぜひ、目をつけたいところだ。

 例えば、新薬の候補となる物質の毒性を画像で診断する研究がある。その物質が細胞に毒性を示すか、示すならどの程度示すのかなどを、実際の細胞に物質を投与して細胞の状況を顕微鏡で撮影し、その写真から核がないなどの異常を示す細胞の数を数えるといった作業だ。従来、この作業は研究者が目で確認し、評価してきた作業である。

 単純な作業ではあるものの、研究内容によっては膨大な数の画像の診断が必要になる。非常に地道で、目が疲れたり、肩が激しく凝ったりと、研究者の身体的負担が大きい。疲労によって非常に重要な結果を見落としかねないリスクも付きまとう。

 ここで時間を取られることで、研究者の分析や新たな実験を検討する時間が減ってしまうことも課題である。