中国版「ゆとり教育」は日本が来た道をたどるのか、運用1カ月の反応は?写真はイメージです Photo:PIXTA

中国では9月から、子どもたちの教育において大胆な方針転換が進められている。これまで問題となってきた「宿題」や「塾などの校外学習」の負担を減らし、体育や社会勉強などに割く時間を増やすよう政府から各地に通達が出されたのだ。この方針転換は、中国の子どもたちの職業観や価値観を大きく変える可能性がある。(日中福祉プランニング代表 王 青)

中国の親たちが
「日本の小学生の夢」に驚くワケ

 筆者は仕事柄、日中の福祉や教育交流に関わることが多い。そんな中で、何回も遭遇したのが、日本と中国の小学生が「将来の夢」について答える場面だ。

 中国の教育関係者や小学生の親子たちが来日し、日本の小学校を見学すると、日本の子どもたちと交流する中で、「将来の夢は何ですか?」「大きくなったら何になりたいですか?」と質問する。すると、日本の子どもたち(小学校低学年くらい)の多くは、天真らんまんな表情で、男の子は「警察官、消防士、野球選手になりたい!」、女の子は「お花屋さん、ケーキ屋さんになりたい!」と答える。「動物園の飼育員になりたい」「保育士になりたい」などと答える子もいる。

 ちなみに、ランドセル素材の人工皮革を手掛ける化学メーカーのクラレが、新小学1年生を対象に行った「将来就きたい職業」に関する調査では、男の子では1位が警察官、2位がスポーツ選手、女の子では1位がケーキ屋・パン屋で圧倒的な人気なのだという(21年版調査より)。上位の傾向は、長年変わらないそうだ。

 一方、これらの答えを聞いた中国人たちは、決まって驚きの表情を隠さない。「日本は先進国で科学技術が発達していて、ノーベル賞受賞者を輩出しているというのに、子どもたちが語る夢のスケールが小さい。とても意外だ」と感想を述べる。

 では、中国の小学生が同じ質問をされたらどう答えるのか。