10月14日、解散詔書を読み上げる衆院議長の大島理森。解散を機に政界を引退しており、後任選びが大きな焦点となる10月14日、解散詔書を読み上げる衆院議長の大島理森。解散を機に政界を引退しており、後任選びが大きな焦点となる Photo:AFP=時事

 あっという間に衆院選の投票日が巡ってきた。与党の自民党を率いる首相、岸田文雄(64)が掲げた勝敗ラインは「与党で過半数の233」。解散前の与党の議席は305(自民276、公明29)。マイナス72議席でも与党勝利という計算になる。いわば「責任回避」の数字と言っていい。しかし、現実的な責任ラインは「自民党の単純過半数233」(自民党幹部)。マイナス40議席が責任論の目安といえる。

 この数字が単なる絵空事ではなくなった。多くのメディアが行った情勢調査で自民党がプラスもしくは現状維持という結果は一つもなかった。「議席減」が基本で、焦点はどこまで減らすか。支持率が低迷した菅義偉前政権のときにいわれた70減という無残な状況からは脱したとはいえ、岸田の足元が危ういことは変わらないまま終盤戦を迎えた。

 その点では、10月24日の静岡参院補選の大敗は岸田にとって深刻だった。投票日に向かって自民党の支持が下降線をたどっていることをはっきりと示したからだ。