普通の「営業マン」とは
違う「入り口」から入れてもらう

「保険の営業マン」として、こうした方々にお目にかかろうとしたら、たいへんなことです。まず、会っていただけないし、会っていただけたとしても、「保険はもう入っているから……」と言われて終わるケースがほとんでしょう。

 ところが、高級外車の試乗会の主催者から、「招待者」として紹介していただければ、まったく違う「入り口」からアッパー層の方とのコネクションがつくれるわけです。質の高い人的ネットワークを築くことができれば、プライベートで動き回ることで、どんどん「ご縁」を広げていくことができるようになるのです。

 だから、僕は「営業マン」としての仕事はどんどん減らし、「ピンク色」で塗られるプライベートの用事を優先的に入れていくようになりました。

 そして、僕のことを信頼してくださるアッパー層のみなさまの「母数」を大きく育てることによって、僕から営業しなくても、自然と、「金沢さん、保険に入りたいんだが、相談に乗ってくれませんか?」「知人が保険を検討しているんで、話を聞いてやってくれませんか?」といった連絡が次々と入ってくる状況が生まれたのです。

 それを見た周囲の人たちは、「金沢さんは、いつも遊んでいるように見えるのに、なぜ、そんなに売れるのか?」と不思議がるのですが、そこには、何一つ「不思議」はありません。僕が長年をかけて大切に育ててきた「ご縁」の集積から、「保険契約」という形のご褒美が落ちてきているのです。

営業とは「僕という人間」を買ってもらうこと

 これが、実績ゼロから試行錯誤を続けた末に辿りついた、僕なりの「営業」という営みの到達点だったように思います。

 要するに、僕は営業マンになった当初は「生命保険」を売ろうと必死でしたが、最終的には、「生命保険」を売るのではなく、「僕という人間」を信頼していただける方々の「母数」を増やすことに全力投入するようになった。その結果、プルデンシャルで記録的ともいわれる成績を残すことができたということです。

 言ってみれば、営業の本質とは、「商品」を売ることではなく、「僕という人間」を買っていただくことなのです。「僕という人間」を買っていただけるということは、「あなたから買いたい」と言っていただけることです。だから、僕は保険に限らず、不動産でも、車でも、何でも売ることができるという自信があります。

 では、「僕という人間」を買っていただくためには、何が一番大切なのでしょうか?

 僕は、「自分の人生」を生きるということに尽きるのではないかと考えています。なぜなら、これまで「僕という人間」を面白がってくださり、可愛がってくださり、信頼してくださった方々は、「僕の人生」に興味をもち、応援してくださっていると思うからです。

 何度も述べてきたように、僕が、TBSを退職したのは、テレビ局の“看板”のおかげでチヤホヤされているだけなのに、あたかも自分が偉くなったように錯覚しているのが、ものすごくカッコ悪く思えたからです。そこには、京大アメフト部時代に「本気」を出していなかったことへの、深い後悔もありました。

 そして、フルコミッションのプルデンシャル生命保険で、数々の失敗・挫折をしながらも、平日は家に帰らず、寝袋に入って会社で泊まる“寝袋生活”をしながら「日本一」になることができました。そんな僕なりに必死になって生きている姿に、多くの方々が共感を寄せて、応援してくださったと思うのです。