「自分の人生」を生きようとするから、
応援してくれる人が現れる
それだけではありません。
実は、保険の営業マンになろうと思ったのには、もう一つの理由がありました。
僕の半生は、スポーツとともにありました。幼い頃からスポーツ選手に憧れ、テレビでスポーツ中継を観戦した翌日は、学校で友達と一緒に大好きなスポーツ選手のマネをして遊ぶ、よくいる少年でした。そんな「スポーツ好き」が高じて、中学・高校は野球に、大学ではアメフトに熱中しました。
その後、TBSに入社し、スポーツ番組にかかわるようになって、スポーツの現場でアスリートと触れ合うなかで感じたことがあります。それは、現役を引退したスポーツ選手のなかで、現役のとき以上に「よい顔」をしている選手が少ないということでした。
アスリートは、子どもの頃から、スポーツにすべてを捧げて、圧倒的な努力をしてきた人たちです。だけど、それはひっくり返すと、「スポーツ以外のことは知らない」ということでもあります。だからこそ、現役を引退すると、社会に上手に適応できずに苦労することが多いのです。
しかも、若いうちに多額の契約金や年俸を手にすることで、金銭感覚が狂ってしまうこともあります。長年第一線で活躍できれば、それでもいいのですが、そんな選手はほんの一握りです。金銭感覚が狂ったまま、若くして引退を余儀なくされて、社会にうまく適応できなかったとしたら、その後の人生は苦難に満ちたものになりかねないのです。
僕は、TBS時代から、この問題をなんとかしたいと思っていました。
自分が憧れてきたアスリートたちには、引退後もカッコよくあってほしい。人生トータルで輝いてほしい。だから、僕はこう考えました。そこに「課題」があって、「ソリューション」がないのであれば、僕自身が「課題」を解決する「ソリューション」を作り出せばいい、と。
そして、まずは、アスリートのお金をしっかり守るために、生命保険の営業マンを志したのです。だから、僕は、プルデンシャル生命保険に入ってから、営業マンとしての仕事をするだけではなく、知り合いの弁護士や税理士、会計士などとも連携しながら、アスリートのお金に関する相談に乗っていました。
ただ、やはりお金を守るだけでは足りず、引退したアスリートがスポーツ以外でも活躍するために、実際に働きながら社会のことを学ぶ機会や場所を提供する必要性を痛感させられていました。しかし、それを事業化するにはどうすればいいのかわからず、仕事を通して知り合った経営者の方々などに相談させていただいていました。
僕が相談をした経営者の方々は、みなさん、ご自身のビジョンを描きながら、それを実現するために一生懸命に頑張っている方ばかりですから、僕の相談には、心から共感してくださり、一緒に知恵を絞ってくださり、たくさんのお力添えをいただくことができました。そして、引退したアスリートが人生トータルで活躍することを、ライフワークとして取り組んでいる「僕という人間」を応援してくださるようになったのです。それは、本当にありがたいことでした。
だから、僕はこう思うのです。
「商品」を売るのが、営業マンの仕事ではないのだ、と。
「自分の人生」を一生懸命に生きようとするから、「僕という人間」を応援してくれる人が現れるのです。そして、「僕という人間」を応援してくださる方は、その「商品」が必要になったときには、「あなたから買いたい」と言ってくださる。そのとき、はじめて営業マンとしての「仕事」をしたことになるのです(詳しくは、『超★営業思考』に書いてありますので、ぜひお読みください)。