「リスキリング」で新たな知識、スキルを習得
再出発に備えよう

カタリーナ

松本 「この年になって、じっくり学び直しができるとしたら悪くないな。しかも結構な額の手当までもらえるなんて」

カタリーナ 「あなたのように一流企業に長年勤めている人は、こういった制度があることは知らないでしょうね。転職エージェントから紹介を受けるのもいいけれど、生活支援までは受けられないでしょ? 活用する価値はあると思うわ。しかも、今は『リスキリング』の時代だから」

松本 「リスキリングって、学び直しのことですか?」

カタリーナ 「ええ、今後はビジネスモデルや事業戦略も変わっていく。必然的に人材戦略も変わるわけで、これからも仕事で価値を生み続けるためには、必要なスキルを新たに習得することが大切よ。リスキリングは、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大きく変わる職業に就くためのスキル習得を意味するようになってきているわね」

松本 「なるほど。失業するのが怖くて、転職先を決めなきゃと焦っていたんです。でも、ちょっと気分がラクになりました。いろいろな制度があるもんですね。早速ハロートレーニングのこと、調べてみます」

カタリーナ 「人生長いんだから、時には休んだっていいし、リスタートするために学び直す時間を取ることもいいと思うわ。焦っちゃダメよ。自分の出した答えに自信を持って」

<カタリーナ先生のワンポイント・アドバイス>
●失業手当は、正式名称を「基本手当」という。受給できる1日当たりの金額(基本手当日額)は、離職前の6カ月に毎月きまって支払われた賃金(賞与等を除く)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」という)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い人ほど高い率となっている。ただし上限があり、毎年8月1日に見直される。離職時の年齢によって、基本手当の上限日額は次のように異なる。29歳以下は6760円、30~44歳は7510円、45~59歳は8265円、60~64歳は7096円となっている(2021年8月~)。

●公共職業訓練(ハロートレーニング)は、再就職の実現に当たって必要となる知識・技能を習得するための訓練。雇用保険(失業手当)を受給している人向けの「離職者訓練」と、雇用保険を受給していない人向けの「求職者支援訓練」などがある。本稿では離職者訓練について解説。訓練分野は事務系をはじめとして、IT、システム開発、建設・製造、サービス、デザインなど多種多様なコースがある。

●ハロートレーニングを受講するためには、ハローワークに求職申し込みをした後、職業相談において訓練の必要性をハローワークが認め、「受講あっせん」を受ける必要がある。

●ハロートレーニングを受講中は、基本手当をもらい続けることができる。加えて、訓練を受講した日ごとに受講手当(500円)が最大40日分支給される。また、自宅から職業訓練校まで2キロ以上あって公共交通機関を利用する場合、交通費として通所手当(上限4万2500円/月)が支給される。

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。