オンライン会議が組織の垣根を低くする
枠組みがなくなりつつあるのは業界という単位だけでなく、企業などの組織単位でも似たような変化が起きています。
コロナ以前は全員が会社に出社するのが当たり前で、完全フリーアドレス制の会社でなければチームごとに席順も決まっていました。大企業であれば役員用の部屋やフロアもあったのではないでしょうか。
また、多くの会議では座る位置も決まっていて、中心に座る重役しか発言できないような空気を感じたことも少なくないと思います。
しかし、コロナ禍の影響で在宅勤務となり、多くの会議が対面からオンラインに変わりました。オンライン会議では社長も新入社員も同じ枠に収まり、画面に表示される順番もランダムです。
また、実際の会議室のように「場の空気」を敏感に感じることはできないため、発言の質のみで判断されることが多くなります。いくら社長といえども、意味のある発言ができなければ存在感がどんどん失われ、会議に呼ばれなくなるでしょう。
一方で、在宅勤務によって目に見える組織の壁がなくなったことで、多くのチャンスが生まれています。
コロナ前は初対面でオンライン会議を実施することには一定の心理的抵抗がありましたが、今では画面越しに初めましての自己紹介をする機会が増えました。
必要であれば海外にいる他部署のメンバーと気軽に会議ができるようになりましたし、LinkedInを活用し異業種の人とコラボレーションすることも増えました。ウェブ面談のみで人材を採用することも一般的になりました。
今回はデジタル化によって既存の枠組みがなくなり、世界が大きく変わったことを解説しました。
次回はこのような時代の中で、DXを推進するには一社員としてどのように振る舞うべきかについて考えてみましょう。
ビジネスコンサルタント・著述家
株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ、クニエ等の米仏日系コンサルティング会社にて業務改革等のコンサルティングに従事。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施。主な著書に『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)『具体⇔抽象トレーニング』(PHPビジネス新書)、『考える練習帳』(ダイヤモンド社)等。
坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者・
キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、日本コカ・コーラ、