総選挙で自民党が劣勢との予測が報じられる岸田文雄首相。周囲を固めるのが、自身の出身校である屈指の名門・開成高校だ。同校OB初の首相となった岸田氏に対し、復権を狙う財務省は着々と布石を打つが、ここでも決め手となるのが開成OBだった。(ジャーナリスト 横田由美子)
東大合格者数首位・開成出身者初の首相
株価は下落、総選挙は厳しい予測が…
9月末日、自民党総裁選の投開票が行われ、岸田文雄衆議院議員が第100代内閣首総理大臣に就任した。自民党最古参の名門派閥である「宏池会」出身の首相は、宮澤喜一氏(武蔵高校卒、旧大蔵省出身)以来30年ぶりである。
岸田首相の経歴もまた華麗だ。自身は3世議員であり、妹は国税庁長官の可部哲生氏(筑波大附属駒場、旧大蔵)に嫁ぎ、いとこには宮澤喜一氏を伯父に持つ洋一氏(筑波大附属、旧大蔵)がいるなど、家系図は縦にも横にも広がっていく。
だが首相本人は、菅義偉前首相に続く地味なイメージを拭えない。株式市場も「ご祝儀相場」はなく「岸田ショック」に見舞われ、就任後すぐさま、10月31日投開票の解散・総選挙に突入するも、「選挙の顔」としての華やかさは全く感じられない。むしろ、自民単独の過半数は難しいどころか、自民党と公明党を合わせても過半数割れとの予測や、宏池会メンバーの半数は落選の可能性などという、暗いニュースばかりが流されている。
実際、25日投開票の静岡県と山口県の参議院補欠選挙は、保守の地盤が強い山口県でこそ圧勝したものの、静岡県では岸田首相が2度も地元入りしたにもかかわらず敗北を喫した。自民党内の危機感は強まる一方だ。