たとえば、夫が要介護5で介護施設に入所して介護費を約44万円、妻が入院を繰り返して医療費を約53万円自己負担した場合、そのままだと夫婦が支払うのは97万円だ。しかし、合算制度を利用すれば、限度額との差額41万円が戻ってくるので忘れずに申請したい。

 限度額いっぱい使うことは珍しいことではあるが、次のような人は合算制度の対象になる可能性がある。

・父親が要介護5で介護施設に入所していて、母親がリウマチの治療で継続的に医療費がかかっている。
・離れて暮らす親の介護費用を負担しているが、不幸なことに家族の病気やケガが重なった。
・寝たきりになり訪問介護サービスも受けているが、同時にがんの在宅治療も受けている。

 合算制度は仕組みが複雑で、該当するかどうかを自分で見極めるのが難しいこともある。迷ったら、まずは介護保険の窓口に相談してみよう。そこで該当するとわかると「介護自己負担額証明書」を発行してくれるので、これを健康保険に提出すると介護保険と健康保険のそれぞれから払い戻しが受けられる。

 ただし、合算できるのは、扶養家族などで同一の健康保険に加入している人の医療費だけだ。たとえ同居していても、夫婦とも働きで別々の健康保険に加入していたり、親が75歳以上で後期高齢者医療制度に加入している場合は、合算の対象にはならない。

 また、自己負担した合計額が限度額に500円を加えた額以上にならないと払い戻しは受けられないので注意しよう。

 そもそも高額療養費と高額介護サービス費によって、医療費と介護費の自己負担額は低く抑えられているので、実際に合算制度を利用するほど費用が高額になるのは稀なケースだ。それでも、高額医療・高額介護合算制度を利用すれば、同時期に医療費と介護費がかかったときに負担を抑えられるので覚えておきたい制度だ。

 病気や介護の渦中にあると、健康保険や介護保険の細かい制度を調べる余裕がないこともある。親が介護も医療も受けているという場合は、どれくらい自己負担しているのか調べて、利用できそうな場合はぜひとも活用してほしい。