現金がもらえるチャージ専用の銀行口座も登場

 先のBaaSと並ぶキーワードに「Embedded Finance」(埋め込み型金融)がある。顧客が利用するスマホアプリ内にクーポンだけでなく支払い機能を組み込んだり、さらに資産運用などの金融サービスがシームレスに利用できたりするようになる。多くの金融機関やカード会社などが取り組みを開始しており、この動きはスマホを舞台に加速していくだろう。

 BaaSやEmbedded Financeの動きとは異なるが、あるユニークなサービスを始めた銀行があった。スルガ銀行のDバンク支店「スマ口座」だ。

 スマホから「スマ口座」を開設し、そこからコード決済の残高にチャージをすると、1000円以上で現金5円がもらえる。

 対象となるのは、「PayPay」「pring」「LINE Pay」「メルペイ」「d払い」で、今後も増える予定。ひも付けるコード決済は複数でもよく、例えばPayPayに1000円、メルペイに1000円と別々にチャージしても、それぞれ還元の対象になる。そのほか、クレジットカード利用代金の引き落としや携帯料金等の口座振替先に指定すれば、こちらも1件につき5円の還元。チャージ分と合わせて月500円が上限で、単純計算では、コード決済に合計10万円チャージすれば500円に達することになる。なお、これとは別に新規口座開設でも500円(2022 年 4 月 30 日までは1500 円の現金プレゼント)も受け取れる。

 例えば、1万円を全てこのスマ口座からチャージすると、月50円となり、年間600円だ。これが口座開設の動機になるかは何ともいえないが、注目すべきはポイント還元ではなく現金という面。ポイント付与は、事業者が大盤振る舞いできる半面、利用期限があったり、それを使用するために必要のない買い物をしてしまう落とし穴もあるが、現金にはない。数字上は0.5%還元となり、普通預金の利息0.001%と比較すれば500倍となるうえ、税金も引かれない。

 コード決済各社のチャージは、グループ内のサービスを併用したほうが還元が大きくなるケースもあるので確認が必要だが、キャッシュレス決済へのチャージに特化するとは、なかなかのニッチ口座といえよう。