「現金」の支給は使途を限定しないので、国民生活への政府の介入や特定業界へのメリット供与につながりにくい点が大変良い。

 家庭の事情はさまざまだ。食費が切実に必要な家庭もあるだろうし、「18歳以下」からイメージされやすい子供の学費に使いたい家庭もあるだろう。いわゆる学費ではない何らかのレッスンにお金が必要な場合もあるだろう。

 こうした事情を無視して、自民・公明の幹事長会談後に持ち出された「教育クーポン」のような形で支援を行うと、家庭の必要性にバラツキがあるので、効果の大きな家庭と、そうでもない家庭に差が生じる。一般論として、政府が国民の生活上の選択に介入することは、自由を重んじる国家としては好ましくない。

 同様に、「GoToなになに」のように特定の業界や予約サイトがもうかる政策も良くない。「トラベル」などが対象になっても、旅行の好き嫌いには個人差があるし、旅行に行ける家も、そうでない家もある。政治家と業界の癒着といった問題もあるが、それ以前に政策として「公平性」を考えるべきだ。

 現金給付というと、「パチンコやギャンブルにお金を使う人もいるのではないか」などと難癖を付ける向きがあるが、それらが「悪い」なら法律で禁止すればいいだけのことであり、別の問題だ。お金の使い道は個人の自由でいい。

 ちなみに、筆者自身は法律で認められているギャンブルを「悪い」とは思っていない。

 当初のバラマキ案の手段が現金の給付とされていたことは概ね良いことだ。

所得制限の議論に終止符を!
「一律給付→税負担で差」が効率的

 加えて、所得制限のない一律の給付であることも当初のバラマキ案の良い点だ。

 所得制限については、民主党政権時代の「子ども手当」の際に、鳩山さん(当時首相の鳩山由紀夫氏)のようなお金持ちの子供にも現金を給付するのはおかしい」という議論があったと記憶している。

 この問題への正解は、「一律に現金を給付して、鳩山さんのような人には追加的な税金をたくさん払ってもらえばいい」という点にある。