成長とともに危険を冒さなくなる代わりに、私たちは創造性の一部を失っていく。もし社会が安定していて状況の目的(WHY)が変わらないなら、結晶性知能を備えた熟練者は効率的に活躍できるだろう。だが、世界は急速に変わり続けている。つまり時代とともにWHYも変化してしまうのだ。この変化に対応するには新しい方法(HOW)を取り入れる柔軟な流動性知能が必要だ。
(『進化思考』p32から)

 このキャッテルの研究を踏まえると、これらの二つの思考のバランスをちょうど取りやすいのが30代半ばなのかもしれません。またこの仮説を裏付けるように、論文引用数が高い上位10%の優れた研究者のうち半数以上は40歳以下となっており、論文の注目度と年齢には高い相関関係があります。先に紹介したノーベル賞受賞者のお二人は共通して、30代における研究の自由度や応援される状況の重要性を語っておられます。

ノーベル賞に見る、創造性と年齢の関係文部科学省「日本の研究力低下の主な経緯・構造的要因案 参考データ集」より