私は未来予測専門の経済評論家として講演をする機会が多く、中でもアフターコロナが一番の人気テーマです。アフターコロナのポイントを一言でいうと、「世の中は元に戻ろうとするのだけれど、同じ場所には戻ってこない」ということです。

 11月16日、新型コロナウイルス感染症対策分科会(コロナ分科会)が会食人数制限の撤廃を了承し、制度上、職場の忘年会も可能になりました。7月から9月にかけて猛威を振るったデルタ株による第5波も理由が分からないまま収束をみせ、街はすっかりリベンジ消費に向けて活気づきはじめています。

 ところが今シーズンの忘年会の開催について東京商工リサーチが10月上旬、約8100社を対象にアンケートを取ったところ、7割以上の企業が『開催しない』と答えたそうです。

 行政的には「コロナが収まったら次は経済が問題になる」と認識していて、フットワークの良い自治体では早くも、「市として忘年会を推進する」「大人数の忘年会に対して補助金を出す」といった打開策が発表されています。

 問題は、もしこれが「世の中は元に戻ろうとするのだけれど、同じ場所には戻ってこない」という典型的なケースなのだとしたら、「今年の冬を盛り上げよう」という対症療法では、忘年会需要は元の状況には戻らないかもしれないということです。

 世の中の戻ってこないものにはいろいろあって、当然ですが原因別に対策は違います。例えば、サンマが漁場に戻ってこないのは地球温暖化が原因といわれていますし、養蜂業のミツバチが戻ってこない現象の正体は、農薬が原因だという説があります。ここでの問題は、「リベンジ消費の時期に忘年会が戻ってこない原因は何なのか?」ということです。