ゼネコン 地縁・血縁・腐れ縁#6Photo by Tomomi Matsuno

物言う株主である村上世彰氏のグループが、保有する西松建設の株の3分の2超を手放した。この騒動で西松は莫大な株主還元を迫られた。関係者は結局得をしたのは村上系、そしてみずほ銀行であると指摘する。特集『ゼネコン 地縁・血縁・腐れ縁』(全15回)の#6では、キャッシュリッチで株価が割安な“お買い得”ゼネコンをランキング。ゼネコン株はまだまだ狙われるのか、この先を探った。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟、松野友美)

アクティビスト騒動で
西松は苦しみ、笑ったのは…

 村上世彰氏が実質的に率いる投資ファンドが、複数の準大手や中堅のゼネコンの株を買い進めていることが昨年ごろから注目を集めるようになった。村上系は物言う株主(アクティビスト)であり、ターゲットになった準大手の西松建設は、株主還元の大胆な拡大や、成長事業への投資を強く求められた。

 結果、西松建設は村上系の要求を受け入れ、配当の“大盤振る舞い”で応じることとなった。また9月から10月にかけて、総額544億円となる自社株の株式公開買い付け(TOB)を実施した。

 自社株TOBは村上系との合意で行われたもので、村上系はこれに応じて25.0%保有していた西松建設株のうち、3分の2強を売却。現在の持ち分は報告義務発生日の11月12日時点で7.24%に下がった。両社は村上側が全株を売却する契約を結んでおり、残りは市場に放出される。

 取りあえずの“縁切り”にこぎ着けたとはいえ、一連の騒動は西松建設にとって終始苦しいものだった。対して「最後に笑ったのは村上系」、そしてみずほ銀行であると準大手ゼネコン幹部は言う。