ゼネコンは長い歴史の中で、オーナー系企業の創業家などと人間関係や血縁関係を築いて、その縁を受注につなげてきた。その関係性が今なおビジネスに強く生かされているところもあれば、脆くも崩れたところもある。特集『ゼネコン 地縁・血縁・腐れ縁』(全15回)の#9では、華麗なる閨閥と人脈の世界を赤裸々に明かす。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝、松野友美)
大林と三井、清水とトヨタに血縁
日清食品と竹中の創業家も縁戚に
ゼネコンと一部企業の間には、華麗なる閨閥・人脈がある。例えば、大林組の創業家は三井家と、清水建設の創業家はトヨタ自動車の豊田家と血縁関係でつながっている。
大林組創業家である大林剛郎会長の妻は三井財閥のルーツとなる三井家。清水建設創業家の清水康雄元社長(故人)は義理の息子がトヨタ自動車創業家の豊田達郎元社長(故人)である。
近年ゼネコン業界で話題になったのは、竹中工務店の創業家と日清食品ホールディングス(HD)創業家に縁戚関係が生まれたことだ。現在日清食品HDの副社長を務める安藤徳隆氏が2004年に結婚したのを機に、同社と竹中工務店はコクヨ創業家の黒田家を介して縁戚となった。
詳しくたどると、日清食品HD創業家である安藤副社長の妻の祖父がコクヨ創業家の黒田暲之助元名誉会長(故人)で、その黒田氏は竹中工務店創業家で当時社長だった竹中統一名誉会長の義父に当たるのだ。
あるゼネコン業界関係者は「日清食品には戸田建設が強かったが、縁戚となった近年は竹中工務店が強い」と指摘する。
実際、最近の日清食品HDの大型建築案件において、東京都八王子市の研究所「the WAVE」(13年竣工)、滋賀県栗東市の関西工場(18年竣工)と、竹中工務店の施工が目立つ。ダイヤモンド編集部が日清食品HDに対し、縁戚となった影響の有無を尋ねたところ、「取引先の選定は全て適切に行っている」と回答があった。
ゼネコンは長い歴史の中で、縁を受注につなげてきた。その関係性が今なおビジネスに強く生かされているところもあれば、脆くも崩れたところもある。