本当に必要な学歴とは
「卒業歴」ではなく「学習歴」
このように見ていくと、学歴は、(1)人的ネットワーク×(2)必要な知識の学習の両面にわたって、時代によって中身は変わるものの、今後も重要性は高まる。(1)と(2)を提供できるかどうかが大学、学部、研究室ごとに問われるようになる。したがって、この時代の大変化に対応できる学習歴を得られる大学学部学科(の研究室)と、そうではない大学学部学科(の研究室)で大きな地位の変動が起こる。
経済誌や経済メディアがよくやるような、○○大学は就職に強い、などといったざっくりした調査には情報価値がなくなり、○○大学の○○学部の○○学科(の○○教授の研究室)は、データの使い方や仮説検証をする基礎はもちろんのこと、修論でこのような指導をしてくれるからレベルが上がる、このような人的ネットワークがあり、このような企業に人材を輩出している、海外の○○や国の○○機関と連携している、卒業後○○に就職した/○○を研究した、優秀な留学生が多数来ているというような情報が意味を持ってくる。
就職においても(1)人的ネットワーク×(2)必要な知識の習得の両面から見てどうなのかが問われるようになる。“人事担当者から見た人気大学ランキング”といったような無意味なランキングの載った記事を時々目にするが、老婆心ながら、もういい加減にすっぱりやめるか、もっと細かいレベルで調査するように企画を見直さなければ、ノスタルジー的観点からその情報を欲する読者には良くても、その情報を真に必要としている読者には置いていかれるのではないだろうか。
(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)