消費喚起にはピッタリのポイント

 値引きとポイント還元の話をもう少し続ける。

 あるAというアイテムを10%値引きしてもらった場合は、手元に残るのはAの1つだけだ。しかし、ポイントが付与されれば、それを充当してさらにBというアイテムを手に入れることができ、手元にはAとBの2つが残る。現実にはポイント相当額ピッタリで別アイテムを買うことは難しく、お金を足したり、数ポイント分は捨てたりすることになるので、何らかの「損」が発生しているはずだ。だとしても、アイテムが2つになった方がオトク感は強まる。ポイントを付与することで新たなものが増えるのだから、まさに消費喚起用にピッタリというわけだ。

 しかし、無論ポイントは万能ではない。使える店やサービスが限られているし、還元率も一定ではない。ポイントは付与する事業者に裁量権があるので、突然サービスが改悪になることはざらだ。

 今、ポイ活界隈がざわついているのが、「楽天経済圏」で行われる変更だ。楽天ポイントを基軸通貨代わりに利用者を自社グループへ囲い込んできた同社だが、利用者から「サービス改悪?」との指摘が相次いでいる。グループのサービスを利用すればするほど楽天市場でのポイント付与率がアップするSPU(スーパーポイントアッププログラム)が、それまでの最大15.5倍から15倍へと下がった(2021年11月より)。

 また、2022年4月1日からは、楽天ポイントの付与対象金額を変更するという。これまでは税込み金額に対して100円につき1ポイントだったのが、変更後は税抜き金額になる。ざっくり10%分のポイントがなくなるということだ。100円につき1ポイントが進呈されるため、今は税抜き1万円の商品を買った場合、消費税分を含め110ポイントもらえるが、来年4月からは100ポイントになる。高額商品になれば消費税10%分のポイントはバカにならない。楽天経済圏にどっぷり漬かっている人ほど目減り感を抱くだろう。

 ポイントは事業者が進呈するおまけなのだから、その付与率を変える権利は向こうにある。還元率をガンガン上げたキャンペーンを打つのは自由自在、それをエサに消費先を誘導させられたりもする。楽天ポイントは累計発行が2.5兆ポイントに達したというが、あくまで一企業のものなのだ。企業の都合が優先するのは言うまでもない。