料理研究家として、新聞や月刊誌のコラム連載、書籍の執筆、講演会で講師を務めるなど忙しい日々をおくっている村上祥子さん。御年79歳でありながら、現在も精力的に働き続けられるパワーの源は何なのでしょうか。そこで今回は、村上さんの新刊『キッチンから始める人生の整理術』(青春出版社)から、著者が実践している「仕事の向き合い方」について抜粋紹介します。
仕事をためない究極のコツは「相手の立場」を思うこと
「仕事でやらなければならないことがあっても、つい先延ばしにしてしまうんです。それで期限までの時間がなくなってあわてることがしょっちゅう。仕事をためないコツってありますか?」
教室にみえている栄養士の方から、尋ねられました。
私の頭にあるのは、仕事でタッグを組んでいる人たちのことです。料理研究家の仕事は一人ではできません。出版社やテレビ局、フリーのライター、カメラマン、スタイリスト、私のスタッフたち……私が早めに原稿を作って渡さないことには、その人たちの準備の時間がどんどん減っていきます。
一緒に仕事をしている人たちに迷惑をかけてはいけない、という強い思いがあるので、後回しにせず、仕事をためずにいられます。そのときの仲間たちが私から受け取った原稿をもとに、頭の中で考えを温め、孵化させる時間のことだと考えます。