人気ゆえに密輸もはびこる
まずは正確な理解の浸透を

 ここまで考えて、飼育を決断する人がはたしてどれくらいいるのか。もちろん、ちゃんと考える人はちゃんと考える。愛玩動物の飼育経験がある人は、なおのこと慎重になるかもしれない。 

 しかし、エキゾチックアニマルはとにかくかわいい。かわいく、普段なかなかお目にかかれないためさらにかわいく見え、衝動的に「欲しい!」と思って購入に至る人が少なくない。珍しさが飼い主にとってファッションアイテム的なステータスとして機能する部分もあり、衝動買いされる傾向はここでもさらに補強される。

 衝動買いしたとしても、その後全身全霊で飼育に取り組めばなんの問題もなく、むしろそれは素晴らしい。衝動買い自体に罪はないが、買ったあとに飼育する責任を(ペットに負担がかかるやり方で)放棄するのが罪なのである。

 嘆かわしいのは、人気の高さゆえにエキゾチックアニマルの密輸がはびこっているという現状だ。たとえば、2019年から売買目的の国際取引が禁止されるようになったコツメカワウソは、すでに国内にいる個体、および国内のブリーダーが繁殖させた個体であれば売買・譲渡が可能とされている。値段は60万~100万円が相場である。個体数が少なくなかなか手に入らないため、価格も相応に上がっている。

 それならば「もっと安く」「もっと早く」と、非正規ルートで手に入れようとする人が出てくる。そして、動物愛護を毛ほども気にかけない違法業者が非正規ルートで入手したカワウソを、劣悪な環境で輸送するのである。税関で発見された密輸カワウソの半数が死んでいたケースもあったという。密輸カワウソの購入は、そうしたあしき業者を正当化することになるから絶対にしてはならない。

 飼育の難しさについても、もっと知られていいように思う。またカワウソを例にとるが、「非常に賢く、トイレも余裕で覚える」という愛らしさの裏に、「もとが野生動物なのでしつけは難しい」「顎の力が大型犬並みに強く、かまれると大けがのおそれあり」「毎日数回水浴びの必要があるので、水道代が異様にかさむ」といった大変さが隠れている(参照:テレ東プラス)。

 カワウソの大変さについて上記に簡単に記しただけで、知らなかった事実を興味深く思った人は多いのではあるまいか。