新型コロナウイルス禍に咲いた徒花か、それとも大輪の花を咲かせるための成長痛の過程なのか。目下、ドラッグストアの成長が足踏み状態となっている。世間が急速に日常を取り戻すなか、ドラッグストアの成長率が鈍化、コロナ禍で既存店が売上げを伸ばした前年度が幻のようだ。「コロナ禍であれだけ伸ばしてきたのだから、反動は仕方がない」「成長の終わりの始まりか」という両極端の見方が飛び交っている。
ドラッグストアトップ3の今年度に入ってからの月次売上高を見てみよう。トップのウエルシアホールディングス(HD)は3月から低空飛行が続いており、4月から10月まで1ケタ台前半の伸びで推移した。2位のツルハHDも既存店売上高は9月こそ前年同月並みまで戻しているが、それまで前年割れが続いていた。
経営統合で3位に浮上した「マツキヨココカラ&カンパニー」もマツモトキヨシ分の既存店売上高は6月までの3カ月間、水面上に顔を出していたが、7月から再び水面下に転じるなど、不安定な状況が続いている。
日本チェーンドラッグストア協会の池野隆光代表理事からは「20兆円、30兆円も夢ではない」というほどの“景気のいい”将来予想もあったのが嘘のような景色だ。
ドラッグスストア幹部は、あくまで反動を強調するものの、「変調しているのは確か」(小売業幹部)との声が強まってきた。いったい、ドラックストア業界に何があったというのだろうか。