中国の成長率が大幅鈍化、持ち直しに潜む「景気下振れリスク」政府は市内を細かくエリア分けし、感染が発覚したエリアの活動をピンポイントで制限し、活動制限による経済への悪影響を最小化しようとしている(新型コロナウイルス感染発生で閉鎖された住宅に食料を配給する人たち) Photo:China News Service/gettyimages

7-9月期の中国成長率
様々な要因で大きく鈍化

 中国の7-9月期・実質GDPは、前期比年率+0.8%と前期の+4.9%から大幅に減速した。前年同期比でも+4.9%と、前期の+7.9%から減速しており、成長率のペースダウンが鮮明となっている。

 成長率が鈍化した大きな要因の一つとして、電力不足による製造業生産の停滞が指摘される。夏場の発電量は、石炭価格の急騰により大きく鈍化した。発電量は通常、製造業の生産量など使用量に応じて受動的に決まる。しかし中国では、通常とは逆に、発電量の制限が製造業の生産量を抑制する要因となっている。多くの製造企業が、計画停電によって工場の操業を抑制し、電力消費量が大きい非鉄金属、セメントの生産量は前年割れとなった。

 7~8月に強化された活動制限も成長率鈍化の大きな要因である。新型コロナの感染者数が再び増加したため、中国では活動制限が強化され、多くの都市で人出が減少した。この結果、サービス消費を中心に個人消費が下振れした。

 不動産市場の調整も、成長率鈍化の要因の一つである。不動産開発企業に対する資金調達条件(三つのレッドライン)の厳格化措置の導入と住宅需要の減少を受けて、恒大集団など一部の不動産開発企業が経営危機に直面したほか、不動産開発投資がスローダウンした。

 このほか、半導体を中心とした供給制約もある。東南アジアの半導体生産がコロナの感染拡大で減少し、中国の自動車生産は低迷した。さらに、インフラ投資や国有企業の固定資産投資が、政府の投資抑制策を受けて減速したことも景気の重石となった。