炭酸泉に入るとさら湯よりも短時間で血流が増えて体温が上昇する。二酸化炭素濃度が濃くなれば、それだけ血管の拡張が起きて血流が増加する。血管が広がると副交感神経が刺激されて神経はリラックスする。

炭酸が含まれたお湯ではさら湯よりも短時間で体温が上昇する炭酸が含まれたお湯ではさら湯よりも短時間で体温が上昇する 画像引用元:「人工炭酸泉の基礎と医学的効果・美容効果」(国際医療福祉大学大学院 リハビリテーション学分野 教授 前田眞治) 拡大画像表示

 腰痛や関節痛などの痛みに温泉が効くのは、体温が上昇すると鈍い痛みの神経は信号が弱くなるためだ。血流が良くなると老廃物や痛みの原因物質がスムーズに取り除かれる。

 また市販の入浴剤よりも温泉の方が体が温まる。これは二酸化炭素の濃度が違うためで、入浴剤の二酸化炭素濃度は100~150ppm(一般的な家庭用の浴槽の場合)になるように作られている。対して温泉の同濃度は1000ppm以上(40℃のお湯での最大濃度が1000ppmだ)であり、入浴剤では到底及ばない。

 炭酸を含む温泉は、おおむねぬるめの湯である。ぬるい湯にゆっくり入浴した方が、炭酸ガスの効果を得ることができる。温泉ならいつでも炭酸ガスが溶存しているが、入浴剤は溶かして2時間以内に入浴した方が良い。

 温泉には美肌の湯と呼ばれる温泉もある。入ると体がぬるぬるする。美肌の湯は泉質が弱アルカリ性であるため、皮脂や汚れを落とす作用があり、それゆえに肌がぬるぬると感じる。極端に言えば、肌の表面が溶けてぬるぬるになっているのだ。

 皮膚表面の汚れやあかが溶けて美肌になるわけで、当然、長く入ればその下の皮膚まで傷んでしまう。たいていの美肌の湯には、15分以上入らないようにと注意書きがある。それは皮膚が傷むためなのだ。