眠る1~2時間前の
入浴が安眠につながる

 では、お風呂はいつ入るのがいいのか?

 アメリカ・テキサス大学らが快適な睡眠について5322の関連記事や論文を精査した結果、40~42.8℃のお風呂やシャワーが睡眠の質を向上させ、眠る1~2時間前の入浴によって眠るまでの時間は10分間短縮すると発表した。人は眠るときに手のひらや足から熱を放出して体温を下げ、眠りに入る。入浴は外から熱を加えることで血流の循環が活発になり、眠る前の放熱がスムーズに行われるのではないかと考えられている。

 ちなみに、スキンケアは入浴後、10分以内が良い。

 風呂に入ると皮脂が流されて水分が角層に吸収されるため、肌が潤ったかのように錯覚するが、実際は風呂から出て約10分後には、入る前の水分量に戻り、水分は減り続けて肌は乾燥してしまうからだ。

 温泉ついでにサウナについても触れておこう。

 最近はサウナ好きをサウナーと呼ぶ。サウナは入浴と同じくストレス解消効果があるが、どのくらいの時間、汗を流せば、サウナーが言う「ととのう」状態になるのだろうか?

 東京工業大学、労働科学研究所などが行った研究で、被験者に入浴時間と回数を変えながら70℃のサウナに入ってもらい、入浴の前後に体重、全身反応時間や膝蓋腱反射閾値、垂直跳びにおけるジャンプ時最大出力パワーなどを測定、サウナで運動能力が上がるかどうかを調査した。

 その結果、5分入浴・1分冷水浴を3回繰り返す入浴では、入浴前より運動能力のスコアが向上したという。文字通りの疲労回復が起こったわけだ。

 したがって、疲労回復に最も効果的な入浴時間は、5分入浴・1分冷水浴といえる。

 ただし入り慣れている人ほど入浴時間が延びる傾向があるため、そういう人たちについては、自分の慣れたスタイルでの入浴が一番スコアが上がったそうだ。

 いずれにせよ、のぼせないように気をつけて、冬の入浴タイムを楽しんでいただきたい。

(サイエンスライター 川口友万)