長崎知事vs堀内一族
過去の対立で姿勢を一変?

 05年の郵政選挙で、堀内光雄氏は郵政民営化に反対して無所属で山梨2区から立候補した。現山梨県知事の長崎幸太郎氏はその際“刺客”として自民党公認で出馬。結果、長崎氏は堀内氏に敗れ、比例復活で初当選した。

 光雄氏は翌06年に自民党に復党。長崎氏はその後の選挙でたびたび自民党公認を求めたが、堀内派県議が反対して実現しなかった。無所属での選挙戦が続き、詔子氏に敗れて落選も経験した。そして19年の知事選。過去の恩讐(おんしゅう)を越えて堀内派県議の支援を受け、初当選した。

 そうした経緯があっても、長崎氏の知事就任後に県が山中湖村の賃借地問題で姿勢を一変させたことの要因として、周囲の者たちは長崎氏と堀内一族との過去の対立を挙げる。

 県議会では、この問題に対する長崎知事の方針転換に対し、反知事派の自民党県議が反発。長崎知事が訴訟代理人の弁護士に支払う調査業務費6600万円を議会に説明せず他の予算から流用したと批判した。今年3月には、将来の裁判費用として予算案に計上されていた2億円を70万円に減額した。

 県議会にはこの問題を含む県有地のあり方を議論する特別委員会が設置されていた。長崎知事を支持する自民党県議らは9月、「司法の判断に委ねる」として、今回焦点となっている山中湖村の土地を除外する案を提出し、可決された。これにより、県議会でのこの問題の追及は一応打ち止めとなった。

 一方で富士急は猛反発を続けており、自社が土地を賃借する権利の確認を求めて3月に県を提訴。同社ホームページには、県に対する反論の文書を掲載している。

ド・ドドンパ以外の運転停止を要請
長崎知事「法的措置もあり得る」

 話を、アトラクションの問題に戻そう。

 富士急は絶叫アトラクションの事故について第三者委員会を設置し、11月4日にその中間報告を発表した。そこでは「乗客への正しい姿勢保持などの注意喚起方法に改善の余地があった」などと報告された。

 だが、従業員が観覧車のドアを閉め忘れてそのまま運転したのは、報告の3週間後。これは乗客への注意喚起以前の問題であろう。またド・ドドンパのような絶叫アトラクションでは、加速や落下によって乗客の体に極めて強い重力や遠心力がかかる。そのような状態で、乗客が安全バーから手を離さない、後頭部をヘッドレストにつけたままにするなど、正しい姿勢を保持することが可能なのだろうか。