A副編集長が実行する解決策
さて、皆さんがA副編集長だったらどう対応するだろうか。いくつかの方法論を検討してみよう。
①アサインメントを変える
まず考えられるのは、実際にアサインメントを変えることだ。Bは自分が結果を残すのが難しい仕事を与えられているがゆえに、モチベーションが下がっているのは間違いない。部下の仕事を多少やりくりしてBが自信を持って取り組める仕事をまずは与え、しっかり結果を出してもらい、自信をつけさせるというのは1つの方法だろう。
②仕事の意義を説き、支援する
別の方法論としては、多少手間はかかるが、苦手な仕事をすることの意義を説くとともに、A副編集長が支援することで結果が出るようにもっていくというやり方がある。
苦手な仕事とはいえ、全く結果が出ないということはそうはないものだ。人間には人から認められたいという欲求もあるので、少しでも良い結果が出たら「すごいね」「やっぱりできるじゃない」などと褒めることで苦手意識を払拭してもらうのだ。
人間は、往々にして自分の不得手な事柄を無意識に決めつけていることが多い。それを払拭できれば、部下の能力を伸ばすことにもつながるし、次に同じような仕事を与えた時に、内発的動機を持って取り組めるだろう。
③部下の自律性を尊重する
また別の方法として、今回の仕事はA副編集長が支援することでいったんしのぎ、次のプロジェクトからはBの意向をくみ取ったアサインメントを与えるから、と約束するやり方がある。
営業で好成績を残したということ、先輩の編集者に褒められたということからも分かるように、Bは十分高いポテンシャルを持っていそうだ。Bにとっては多少チャレンジとなるが、従前よりも早めにBの自律性に任せ、彼が内発的動機から動けるような仕事を提案させるのも1つの方法だ。もちろん、ある程度の自律性は与えながらも、実力を正しく見極め、支援、指導するのもA副編集長の役割だ。
社会人のパフォーマンスは突き詰めればモチベーションの高さによる部分が大きい。部下一人ひとりと向き合い、彼らのモチベーションをしっかり高めることはマネジャーの重要な責務なのである。