昔は就職課の求人票
今は就活情報サービス

 これに対してZ世代は、就活情報のウェブサービスを活用して企業を探す。多くの学生は、大学3年生の6月からの大手企業の夏のインターンシップの募集によって就職活動を意識し始める。

 6~7月は企業がインターンのPRをし、夏休み中のお盆明けから9月末に夏のインターンが行われ、これが就活の1つ目の山場となる。ここで学生はOBやOGに会うなど、企業との接点ができ、少数の学生がインターンからの早期選考ルートに乗る。

 10~11月にインターン数は一旦減り、12~1月に冬のインターンが行われる。3月1日の情報解禁日から一斉にエントリーシート(ES)受付がはじまり、ここで学生は企業に公式に応募の意思表示をする。書類選考、筆記試験、適性検査、複数回の面接で、6月頃から内定が出始める。

 ダイヤモンド・ヒューマンリソースの調査によると、インターン導入企業は大手企業で8割、中堅・中小も過半数だ。実施が当たり前になっている分、かつてほど、インターンへの参加資格を得たこと自体の希少性はない。インターンにおける多くの企業の主たる目的は、多数の学生に内定を出すことではなく、優秀な学生の母集団の形成を図ることだ。早い時点で多数の学生を囲い込んでも、実際に学生が意思表示できる期日まではフォローしきれないためである。

 コロナ禍以降、就活を大きく変えたのは企業説明会や面接がオンライン化したことだ。親世代が就活のためにスーツや鞄を新調するのが常識だったように、Z世代にとっての常識は「良好な通信環境」。声が届くか、周囲の雑音はカットされているか、画像がきれいに映るかなどに学生は気を遣う。

 企業の採用活動と学生の就活両方に通暁するダイヤモンド・ヒューマンリソースのHD首都圏営業局局長である福重敦士氏によると、ここ1~2年の選考で、応募時に動画投稿を求める企業が急増しているという。「動画は情報量が多く、静止画の証明写真のようにごまかしが利かない。テキストベースのESを見るよりも、学生の個性が見えやすい」(福重氏)ためだ。