楽しむことを知っていた
サッカー日本代表選手の素顔

 何よりも「楽しむ」ということが継続につながるのではないでしょうか。私の息子・志有人(元U-21日本代表・今季南葛SCでプレー)はプロサッカー選手になりましたが、サッカーを楽しむスキルがあったように感じます。サッカー指導者でもある私は、彼には何もしませんでしたから。

 精神修養、一意専心をやっていても、プロサッカー選手になれるものではありません。サッカーに必要なものとして、フィジカル(体力)、テクニック(技術)、インテリジェンス(知性)、タクティクス(戦術)の4つがありますが、遺伝的要素はフィジカルだけ。才能ある選手って、意図して育てるものではなく、生まれてくるものと考えています。

 たとえば、息子と同じU-12東京選抜の1歳下のチームに所属していた選手に、中島翔哉選手(日本代表・現ポルティモネンセSC)がいます。ドリブルを武器とする選手で、遊び心あるプレーも魅力ですね。

 彼のことを小学生の頃から見ていますが、本当にサッカーが好きな選手。暑い夏の日も休まずに息子と1対1を繰り返していて……。「練習をやれ!」というのは簡単ですが、自発的に学び出す子は意図的に育てることはできません。彼自身もサッカーを楽しむことを意識していますが、「デポルターレ」の意識を持った選手ではないでしょうか。

 日本型の指導方法でこういった選手を潰すのではなく、スポーツを楽しむ環境をつくっていくことが大事だと思っています。

*「FC市川GUNNERS 代表・幸野健一氏に聞く(2)」に続きます。