総予測2022#サントリーHDPhoto by Masato Kato

2021年誕生した岸田政権。アベノミクスを進化させた「新しい資本主義」を掲げ、賃上げを22年の重点事項に位置付けている。サントリーホールディングスの新浪剛史社長は、賃上げ施策に現役経営者として政府に“注文”をつける。特集『総予測2022』の本稿では、その具体策を明かした。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

政策に必要なのは「安心感」
民間部門がお金を使う「仕組み」が大事

――2021年、岸田政権が誕生しました。求められる政策は。

 新型コロナウイルスのワクチンが普及し、死者や重症者は減っています。家庭には1000兆円、企業にも300兆円の現預金(総額ベース)があり、お金がないわけではありません。しかし、経済は非常に悪い。こうした矛盾した状況にあります。どのように戻していくかが22年の課題になります。

 政策に必要なのは、「安心感」をつくることでしょう。具体的に言えば、政府の役割は安心して消費ができる環境をつくることです。

 60兆円規模の経済対策を打ち出しましたが、あれほどの金額は不要です。真に必要なのは、民間部門に気持ちよくお金を使ってもらう「仕組み」なのです。最終的には賃上げにつなげ、「給料が上がるんだ」と国民が実感できるようにする必要があるのです。

――そうはいっても、「賃上げは難しい」というのが企業の本音だと思いますが……。どのようにして賃上げを行えば良いのでしょうか。