少し調べれば誰でも分かるような投稿、フォローしてて意味ある?

酒井 TSUKASA.さんは、アパレル大手の店舗スタッフを経て、当時は世間的にも珍しかったSNS担当者になりました。この11月、バニッシュ・スタンダードに入社し、“オンライン接客の先生”として「STAFF START」を使う店舗スタッフへのアドバイスも行っています。令和のカリスマ店員を決めるコンテスト「STAFF OF THE YEAR」で、7万人の中から1位、2位となった村岡美里さん、なとりかさんのSNS教育に関わったと聞いて驚いたのですが、SNSでファンを増やすためにどのような指導をされているのでしょうか?

TSUKASA. 常に意識しているのは、「絶対に楽しんで取り組ませる」ということ。大事なのは継続。楽しまなければ続きません。

 これまでいろいろな店舗スタッフと接してきましたが、中には「投稿させられている」と感じ、SNSが億劫になってしまう人もいました。SNSはそれがお客さまにダイレクトに伝わってしまう。背景や画角、文章などを見れば、妥協しているのがすぐに分かります。

酒井 妥協が伝わってくる文章とは?

TSUKASA. 少し調べれば誰でも分かるような商品説明や、店長会の資料をコピペしたような文章ですね。つまり、個性がない。そんな投稿をしている人、フォローしていて意味ある? となりますよね。

 SNSの投稿に正解も不正解もないのですが、教える側としては、「この人、もっとポテンシャルあるのに」と思ってしまいます。前職でも、投稿を見て「ああ、もうこれ全然気持ち入ってないな」というのが分かると、「大丈夫?」と声を掛けていました。

叱るより褒めたほうが断然伸びる

酒井 人って、声掛けやアドバイス一つでそんなに変わるものでしょうか?

TSUKASA. 私は前職(編注:店舗で販売員をしていたとき)で、新型コロナの影響で思うように営業できなくなり、どうしたらいいか分からなくなっていたとき、社内で「STAFF START」の講習会を開いたんです。「店頭に立てなくてもECには立てる。みんなでSTAFF STARTを頑張ろう」って。

 講習後はみんな「こんな状況でもできることがある、今日から頑張ろう」と目を輝かせていました。「どうしたらいいか分からない、でも何とかしたい」という思いを持った人は、一つのアドバイスがきっかけですぐに変わります。

 アドバイスの際に大事なのは、“褒める”こと。個性って、叱るより褒めた方が断然伸びる。認められていると感じると、安心して自分の言葉で発信できるようになるんです。