(左)酒井真弓氏、(右)LINE ミニアプリ事業企画室 室長 谷口友彦氏 Photo:LINE(左)酒井真弓氏、(右)LINE ミニアプリ事業企画室 室長 谷口友彦氏 Photo:Kazan Yamamoto & LINE

「人手が足りず、ワンオペの店舗でオーダーを取る店員がいない」「行列ができる店でキャンセルを減らしたい」飲食店が抱える課題はそれぞれだが、中にはデジタルで解決できるものもある。“飲食店のDX”とLINEは一見関係なさそうなのに、なぜ「LINEミニアプリ」は生まれたのか。事業責任者の谷口さんに話を聞いた。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

飲食店のDXを支えるサービス

 飲食業はアナログな業務が大半で、IT投資、IT人材の獲得には消極的だ。以前の記事で紹介したムゲン食堂や廚 菓子 くろぎも例外ではなく、専任のIT担当者はいない。毎日店に立ちながら、LINEを始め身近なサービスを使って目の前の課題に取り組んでいる。

 LINEミニアプリ事業責任者の谷口友彦さんは、「誰もが迷わず使えるように(サービスを)作らないと、飲食店の現場は楽にならない。開発に当たっては、とにかくたくさんの店を巡ってヒアリングと仮説検証を繰り返しました」と振り返る。

 谷口さんはリクルートで複数の新規事業開発を経験後、2014年、LINEに入社。2015年にリリースされたタクシー配車サービス「LINE TAXI」では、プロダクトマネージャーを務めた。

 新しいサービスをどんどんリリースしては、数年でたたむ……これが、筆者のLINEに対するこれまでのイメージだ。LINE TAXIも3年でサービスを終了している。これは決して悪いことではない。DXを進める上ではしばしば、迅速な意思決定や開発サイクルを浸透させた「アジャイル型組織」への変革が求められる。新たなサービスを生み出し続けることも、そのサービスが本当に必要とされているのか検証し、お情けでずるずる続けないことも重要な経営判断だ。